広域的な行政課題及び振興整備等の調査研究

広域行政制度(新たな広域連携の推進)

地域住民に最も身近な地方公共団体である市町村は、地域住民の日常生活に必要で身近な行政サービスを提供し、地域住民の付託に応えるため、福祉の向上や魅力あるまちづくりの推進に努めておりますが、単独の市町村では解決が困難な行政課題を複数の市町村で解決又は展開することがより望ましい事務事業も少なくありません。

例えば、ゴミ処理、消防、火葬場の設置、広域的な振興事業や人材育成、広域的行政課題の調査研究、また、都道府県から市町村へ権限移譲された事務など、複数の市町村で連携・協力した方がより効率的で行政サービスが行き届き、市町村の財政負担が軽減される場合もあります。

このような市町村の枠組みを超えた行政サービスの維持向上と効率的かつ効果的な事務事業の推進を図るため、各市町村の情報や地域資源をお互いに提供し合い、広域的な視点から市町村が連携・協力し、円滑な事務事業を推進・展開する行政手法の考え方のひとつに「広域行政」があります。

広域行政の推進方法には、市町村の枠組みの変更を行う「市町村合併」のほか、市町村の枠組みの変更を行わないで事務の共同処理を行う「一部事務組合(複合的一部事務組合)」、多角的な事務処理を通じて広域的な行政目的を達成するため、直接国又は都道府県から権限委譲を受けることができる「広域連合」、また近年では、新たな広域連携の施策として、生活機能の強化、結びつきネットワークの強化、圏域マネジメント能力の強化などを図る「定住自立圏構想」や人口減少・少子高齢社会においても一定の圏域人口を有し活力ある社会経済を維持するための拠点を形成する「連携中枢都市圏構想」が推進されています。

事務の共同処理に関する調査研究

将来的な人口減少・高齢化の進展が予測されるなかで、限られた人員や財源を有効かつ効率的に活用するため、事務の共同処理は、引き続き重要な手段のひとつであると考えられます。

そのため、広域行政の推進・広域連携の促進を図る観点から、広域的に処理することが求められている事務や共同処理の可能性のある事務の抽出に加えて、当該事務の現状と課題を整理し、あわせて、事務の共同処理に向けた調査検討を実施し、ひいては、事務の共同処理の実現により効率的かつ能率的な事務事業の推進と関係市町村の事務負担の軽減を図ることを目的に「事務の共同処理に関する調査検討」に努めます。

令和3年度~令和4年度の取組

対象事務

子ども・子育て支援法及び児童福祉法の規定に基づく特定教育・保育施設及び特定地域型保育事業の指導監査等に関する事務

目的及び背景

本事業の対象となる豊見城市、糸満市、南城市、南風原町、与那原町、八重瀬町及び久米島町(以下「関係市町」という。)は、特定教育・保育施設及び特定地域型保育事業の質の確保や各種給付費等の支給適正化に加えて、適正な事業所運営や入所者の適切な処遇の確保などを目的とする「子ども・子育て支援法及び児童福祉法の規定に基づく特定教育・保育施設及び特定地域型保育事業の指導監査等に関する事務」を複数の法令等を基本に関係市町それぞれが定める基本方針や基準等に基づき定例的かつ定型的な事務処理にあたっている。

しかしながら、当該事務処理は、特定教育・保育施設等に対しての立入り検査や各種給付費等支給の過誤・不正の防止、また、入所者の生活環境等の状況や施設の管理運営体制等の状況確認などその指導形態等が多岐にわたるほか、近年の待機児童の解消に向けた取組に伴う事業者等の増加などにより複雑多様な業務に対応する専門職員等の配置が求められ、現状の事務処理体制では適切な行政サービスが十分に行き届かないおそれがある。

そのため、当該事務を適切に処理するためには、担当職員の一定の知見や経験のほか専門的知識・ノウハウ等を有する人材の継続的な確保に加えて、関係市町によって指導形態等が異なることがないよう広域的な事務処理による平準化・公平性を確保し、統一した適正な執行管理と事務処理体制の強化・効率化とあわせて、共同処理による行政サービスの質の向上や行政経費の軽減・合理化など共通の課題を有している。

こうした状況を踏まえ、当該事務処理の現状と課題の整理や共同処理によるメリット・デメリットの分析などについて調査検討し、あわせて関係市町の担当課長で構成する検討委員会において課題共有と事務の共同処理の実施に向けた関係市町の機運の醸成を図り、その可能性を一層高めるものとする。

事業内容

  1. 基礎調査の実施
    1. 関係市町ヒアリング・事例調査
    2. 関係市町の現状と課題の整理
    3. 共同処理体制の等の整理
  2. 共同処理によるメリット・デメリットの分析
  3. 分析結果等の整理
    1. 基本的な事項の整理
    2. 共通課題の整理
  4. 調査検討結果の取りまとめ
    1. 共同処理の実施に向けた基本的な事項の整理
    2. 共通課題の対応策の整理
    3. 関係例規の整備
    4. 共同処理の実施時期
    5. 規約変更スケジュール

共同処理のイメージ

共同処理のイメージ図